ブックタイトルモットヨッカイチ 2014年9月号 四日市 菰野 川越 朝日 地域情報 イーモット
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27富田の民話 「鯨船祭り」「デンデンデン・ヤサネー」で始まる調子に乗って、八月十四日・十五日灼熱の太陽の下、富田の町の狭い路地を雷が走り抜ける。鯨と船の壮絶なる戦いである。昔々の大昔、伊勢湾でもくじらが取れたころのことやさ。ある日のことやった。沖のほうで、何本も水柱がたっかぁ上がったんや。くじらが何匹も現れたんやな。漁師たちは、網のつくろいもそこそこに、勇んで船を出したんや。親くじらは、子くじらをかばいながら泳いでいた。猟師たちは何時間もの追跡に、銛を打てるまで鯨に近づいていったんや。そして長い時間まっとった。そしたら、息を継ごうとしてくじらが大きな体を海面から突き出して現れたんや。親鯨と子鯨やった。ほしたら、その時親鯨は、銛打ちに哀願するように言ったんや。「私たちは、はるか紀州の海から伊勢参りにやってきました。せめて伊勢参りがすむまで見逃してください。」親鯨の目からは大粒の涙が光った。しかし、銛打ちは、親鯨の背中に、一番銛を打ちこんだんや。見る見るうちに海は真っ赤に染まった。苦しみながら、親鯨は、それでも訴えた。「子供だけは、助けてやってください。」しかし、漁師たちは子鯨共々射止めてしもたんや。 ほしたところが、それからというものは、富田の浜では一匹の魚も網にかからん様になってしもたんや。浜では、あの親子の鯨のたたりに違いあらへん…と、うわさしあった。困りきった猟師たちは、親子の鯨の霊を慰めようと、伊勢参りにも行き、もう二度と鯨は取らんと誓ったりしたんや。ほんでやっと浜にも前のように魚が戻ってきた。ほんでも、猟師たちは、あの勇壮な鯨取りを忘れることが出来やなんだんやな。ほんで年に一度の夏祭りに、その勇ましかった鯨取りを、陸の上でしのぶことにしたんや。これが富田の鯨船祭りの始まりなんや。〈平成5年〉準備・練習の様子 祭り当日を迎える為、地元の皆さんは何日も前から 準備や練習を重ね「鯨船祭り」は開催されています。